可搬式豚衡機「デジトンDGM」の導入で計量時間が4分の1に

  計量を始めた当初は電気を必要としない桿(さお)式の計量機を導入し、その後、海外製のバネ式の計量機も購入した五十嵐社長。
 機械式のはかりだと、体重が確定するにはさおや針が止まるのを待つ必要があるのだが、豚が計量時に動いてしまい、なかなか数値が安定せず計量に時間がかかっていた。また、計量時には豚を追い込んで計量台に乗せる必要があることから、豚が嫌がり、ストレスをかける状況になっていた。
 そんな状況の中、より良い計量機はないかと探していたところ、東京での畜産イベント『養豚国際フォーラム』にて田中衡機の「可搬式豚衡機デジトンDGM」を見つけた。

 実際に「デジトンDGM」を使用してみて感じた一番の感想は、「豚が計量機に乗った際にあまり騒がない」ということだった。そのため、豚が計量機に乗って体重が確定するまでの時間も短い。実際に確定するまでの時間を計測してみたところ、「デジトンDGM」で3秒、「バネ式」は平均すると12秒程度と、約4倍もの差があった。
 また、今まで計量作業は2人で行っていたが、「デジトンDGM」は一人でドアの開け閉めが可能なため、作業の省力化が可能になった。
  さらに、以前は追い込んで嫌がる豚を計量機に乗せていたが、今は豚の「一定距離進むと戻ってくる」という習性を利用して、戻ってきた際に計量機に乗せていているので、「遊びの一貫」として乗ってくれるようになった。今では出荷時も自ら進んで豚房から出るようになり、豚へのストレス軽減につながった。
  このように、計量時間や出荷時間の短縮作業の省力化豚へのストレス軽減などの効果があり、従業員からは、「次もこの計量機にしてくれ」との声もあったという。

ゆくゆくはオートソーターの導入へ

 現在、日本の養豚場で急速に広がっている大群飼育。その際に必要になるのが、「オートソーター」と呼ばれる自動で計量・出荷振り分けを行う計量装置。五十嵐ファーム様でもこの装置の導入を検討しているそうだ。

 「今後、規模を拡大していくと、全頭以上の計量が必要となってくる。従業員のためにも、先進的な機械に投資することは有効だと考えている。良いものは残っていく。それを見抜けるかどうかが重要となる。」と力強く語ってくださった姿は非常に印象的だった。

次世代への想い

 五十嵐社長に、既に一緒に働いているご長男をはじめとして、五十嵐ファームの未来を担っていくであろう若い世代への想いを伺った。
 「自分の示している成功モデルをヒントに、彼らは彼らなりに新しいことにチャレンジして欲しい。彼らはもっと大きくなりたいだろうし、新しい時代の人たちの目線で進んでいくはず。
 利益追求のみに走るなど、人間さえ狂わなければ大丈夫。人との関係は大事にしていって欲しい。毎日同じ仕事ではつまらなくなってしまうし、飽きさせないような工夫や、夢を持てるスタイルを追求したほうがいい。夢を与えられるのは良いことだと思う。
 あの人がやってんだから自分にも出来そうだな。と思ってもらえたら嬉しいし、この地域を大事にしながらやっていってもらいたい。」
 暖かく見守りつつも、若い世代の新たな挑戦に期待している五十嵐社長。3人の息子は、みな農場経営に携わると言っているという。五十嵐社長の養豚へ対する熱い思いは、こうして次の世代へとつながっていくことだろう。